量子コンピュータって何!?

Published by atsushi on

ここ数年、量子コンピュータという単語が聞かれるようになってきました。元々概念としては存在するものの、実現が可能なのか、さらにそれが実用的なレベルなのかが常に問われてきました。

しかし、2019年10月にGoogleが量子超越性を発表しました。量子超越性とは、旧来のコンピュータ(古典コンピュータと呼ばれます)では現実的ではない時間が必要な計算問題を、量子コンピュータが遙かに短い時間で計算できるという意味です。Googleの発表によれば、古典コンピュータで1万年、量子コンピュータで200秒で解けたとのことです。つまり量子コンピュータの存在意義、優位性が立証されたということになります。

ここでは量子コンピュータの概要と、実際に利用する方法について紹介します。

量子とは

そもそも量子とは何でしょうか。世にある物体は無数の原子によって構成されていますが、量子はそれよりももっと小さい、ミクロな世界で用いられる理論になります。ミクロな世界においては、私たちの世界では起こらないような不思議な現象が起こります。そうした現象を活用するのが量子コンピュータといえます。

有名な例としては、存在確率の話があります。これは状態の重ね合わせと呼ばれます。ある空間の中に量子がある時、ある瞬間において量子がどこに存在するのかは明確にいえません。どこかに一定の確率で存在しています。これは空間を区切る敷居を立てた場合も同様で、どちらの敷居にも一定の確率で存在します。ただし、それを観測すると、どちらかの空間に存在する状態になります。観測によって状態が異なるという不可思議な現象が量子の世界では起こりえるのです。

量子コンピュータとは

量子コンピュータは極論、コンピュータの一形態になります。従来の電子式コンピュータは古典コンピュータと呼ばれます。古典コンピュータはあらゆる情報を0または1のビットで扱います。それに対して量子コンピュータは最小単位が量子ビットと呼ばれ、重ね合わせ状態によって情報を管理します。重ね合わせ状態は先に挙げたものです。

古典コンピュータが0または1という2つの状態しか持ち合わせなかったのに対して、量子コンピュータは2^nの状態が存在することで、計算速度を飛躍的に向上させることができるというのが基本原理です。もちろん、意味なく観測してもランダムな結果が得られるだけで、結果を高確率で得るためのアルゴリズムが必要になります。

量子コンピュータが利用できる場面とは

最終的には量子コンピュータは古典コンピュータが行うこと全てができるようになるといわれています。しかし数年前までは量子コンピュータはせいぜい16ビットが最大だったこと、コストが古典コンピュータと比較にならないほど高価であることから、普及する段階ではありません。そして、量子コンピュータが利用される場面として最も多いのは組み合わせ最適化問題になります。

組み合わせ最適化問題とは、様々な要素がある中で、最もコストが小さくなる経路(選択肢)を導き出す問題です。たとえば物流におけるルート探索であったり、セールスマンの巡回ルートを探索するといった具合です。探索する際の指標(ノード)が増えれば増えるほど、計算量は膨大に増えます。こうした問題に対して量子コンピュータが利用されています。

また、因数分解においても量子コンピュータが用いられています。非常に大きな数の素因数分解するというのは、古典コンピュータでは計算速度に限界があります。これを量子コンピュータでは十分に実用的な速度で行えるというものです。この素因数分解はインターネットのセキュリティでも利用されている方法で、量子コンピュータによって素因数分解が瞬時に行えるようになると、セキュリティが崩壊するのではないかといわれることもあります。実際には量子コンピュータが実用レベルになる前に、量子コンピュータでも解読できない暗号化技術が生み出されると考えられます。

量子コンピュータを試す

前述の通り、量子コンピュータの価格は非常に高価です。とても個人、または一法人で手出しできるようなものではありません。しかし、そんな量子コンピュータを手軽に試せる環境として、クラウドサービスが幾つか立ち上がっています。

IBM | Quantum Computing

IBMが発表した、恐らく世界初のクラウドベースの量子コンピュータです。5量子ビット、または16量子ビットが利用できるようです。

D-Wave Leap Log In | D-Wave Leap

世界ではじめて商用の量子コンピュータを開発したD-Waveによるクラウド型量子コンピュータサービスです。2000量子ビットとされています。

Amazon Braket

AWSがリリースした量子コンピュータです。Jupyter Notebook上で設計を行い、結果はS3上に保存されるようです。

QNNcloud(終了)

NTTのサービスです。2019年3月に終了しました。

まとめ

量子コンピュータは少し前まで夢物語の存在であり、古典コンピュータで十分と考えられてきました。しかし、昨年のGoogleによる発表以降、にわかに量子コンピュータが現在のスーパーコンピュータを凌ぐ(分野もある)のではないかと考えられるようになってきています。一般化するかどうか、さらに私たちの手元に来るのかは分かりませんが、30〜40年前のコンピュータも同じような存在だったといえます。今から考えると、コンピュータがなくては私たちの生活は成り立ちません。量子コンピュータもあっという間に普及して、IoTやスマートフォンの中で動くようになっているかも知れませんね。


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